最近よく耳にする『墓じまい』

ここ数年、墓石の解体撤去処分工事が本当に増えてきました。弊社でも月に2~3基は工事をさせていただいています。工事を受注するのは本当に有難いことなのですが、石材店として墓石をなくしてしまうということは、お墓でのお客様とのお付き合いが今後無くなるという意味で非常に複雑な心境になります。私は仕事をはじめて15年経ちますが、当初は『墓じまい』という言葉すら聞かなかったように記憶しています。メディア等が頻繁に話題として墓じまいを取り上げてあげてきたのが五年位前、それから一気に『墓じまい』という言葉か一般の方々にも浸透してきたのではないでしょうか。

 

墓じまいが増えている理由とは?

 

 

統計庁のデータによると、ここ数年は毎年8万件以上の改葬が行われており、年々少しずつ増加しています。改葬が増加傾向にあることからも、墓じまいをする人が増えていることは明らかと言えます。

 

このように墓じまいが増えている理由として、大きく3点があげられます。

 

①お墓を継ぐ人がいない

生涯未婚であったり、子どもがいない夫婦、また子どもが娘だけで嫁いでいる夫婦などが増えています。

 

②墓参りをすることが困難

昔のように大家族の中で生まれ育ち、生まれた地域に住んで一生を終えるという人がかなり少なくなってきています。これは核家族化の進行と都市部への人口集中により、日本人のライフスタイルが大きく変化していることが影響しています。

 

③経済的な理由

お墓の維持費や管理費、お寺へのお布施などは、年間で計算するとかなりの金額になります。昔であれば、家を継いだ人が当たり前のように支払っていました。しかし、家族の形やライフスタイルも変わり、お寺との関係も希薄になる中で、費用負担をすることが祖先を敬うことになるのか、疑問視する方も増えてきました。

 

 

弊社のお客様の多数が「②」です。

曾祖母さんがお墓を建て、息子さんが湖北地域を離れ都市部に行き、そのお子さんやお孫さんが親戚付き合いの希薄になった現在、お墓参りためだけに湖北地域に帰省される方が墓じまいをされるのが多いように感じます。

墓地を管理されている自治会長とお話をすると、どこの自治会でも無縁墓の取り扱いに苦労されています。勝手に処分するわけもいかず、かと言って所有者もわからなくなりどうすればいいのだろうかと……最初にもお話ししたように石材店としては墓じまいをすることは非常に複雑な心境ではありますが、無縁墓になるくらいなら移り住んだ地域でお墓を建てる。または違った供養ができる場所に改葬するのも一つの選択肢なのかと思います。